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印刷物での「金」表現手段について

オフセットによる商業印刷ではカラー印刷が標準となり、インクジェットプリンターは民生品であっても高品質印刷ができる現在でも、まだまだ「色」の発色では様々な制約を完全にクリヤーするには至っていないが、一応「金色」の表現方法は、大きく分けると金色インキを使用する印刷方法と、後加工による箔押しがある。

 

【金インキ:印刷】(オフセット、凸版)

ー光沢仕上を前提にした大量印刷物向きー

「金」インキを用いた、印刷の金刷りでは、白色度が高く極めて平滑な表面を持つ用紙で印刷するのが一般的である。白色度の低い紙や色紙、あるいは上質紙やケント紙のように表面加工が行われていない用紙では、刷り上がりが金色ではなく黄土色の発色となるからである。

 

【混色インキ:印刷】(オフセット、凸版)

ー少量〜大量印刷物向きー

既成の金インキではなく、あえてインキを混ぜ合わせて「金擬きインキ」を作る方法がある。これは、銀インキをベースに金赤・藍・黄のインキを適量に混合するものだが、いわゆるメタリック色である。銀インキの顔料はアルミで、金インキの真鍮と違い、印刷適正に優れているため印刷が容易になること、発色(見え方)において既成の金インキよりも明るいことなどが利点としてある。
しかし、あくまで擬きの金色であり、金特有の輝きを期待するには無理がある。

 

【振り金:印刷+加工】(凸版)

ー格調を要求される極少ロットの印刷物ー

これは伝統工芸の「蒔絵」とほぼ同じ手法である。その手順は、手差しの凸版印刷機で一枚刷っては止め「金粉(真鍮紛)」を振りかける(蒔く)作業を繰り返し、その後、不要な金粉を柔らかく攘って除去する。結果インキ面の金粉が残り、その後インキが乾燥することで金粉が定着する。仕上がりは「梨子地」となり、キラキラ感は箔押よりも強い。
かつて活版印刷の全盛期には、少量の金刷では主流で、広く行われていた手法だったが、現在では殆ど行われておらず、こうした需要は全て箔押加工に代替されている。

 

【溶剤+金粉:印刷】(スクリーン)

ー刷込必須の賞状用紙など少ロットの印刷物ー

この手法は、振り金を簡略化したものだが、金粉は振りかけるのではなく、透明インキと混ぜ合わせて印刷する。極めて粗目の金粉を使用するので反射率も大きくなる。さらに、スクリーン印刷の被膜は他の印刷方式より厚いので高輝性が際立つ。
これは振り金同様に大量印刷には不向きで、溶剤の臭気が収まるには相当時間を要する欠点がある。

 

【箔押:後加工】(プレス処理)

ー小さなサイズから厚みのあるものでも可ー

「金色」は、「色」ではないため、箔押は「金色」を表現する最も有効な手段である。
銅版に熱を加えて、金色の箔を用紙の上に定着させるものだが、その際は一定の圧を加えるので、紙だけでなく布などラフな表面であっても「金色」表現可能である。ただ、箔押は製品の最終工程行なうもので、加工後さらに印刷を要する用紙(賞状など)にはあまり向かない。

 

※上記以外に、金銀のインクリボンを使う熱転写プリンタがある。また最近、富士ゼロックスには金銀トナーが使えるオンデマンド印刷機が出たが、不知案内のため割愛する。

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