活版ロード ブログ

白地を浮かせる表現

 特Aクッション(紙厚_0.6㎜厚)を使った黄色1色刷のメッセージカード。樹脂凸版で印刷の1回処理のみ。後加工なしでもこれだけのインパクトある表現が出来る。
 自家製版して、活版機で印刷するだけのもので、大掛かりなことはしない。経費もネガフィルムと樹脂版、そして印刷費だけである。したがって普通の「名刺印刷」と大して変わらない。
 しかしながら、作業はそれなりに大変な思いをしている。用紙の特Aクッションは嵩高でよく凹むが、見本のようにベタ面積が大きいと印圧が弱まるため、本来ならば「亜鉛版」金属版を使ったほうがエッジが立って仕上がりが良い。だが廉価に抑えるためには手早く作れることが必須条件。

 付けローラーが2本しかない活版機では必ず色むらが出る。インキを多く出すとマージナルゾーンが目立ち過ぎて汚くなるので、できるだけ適正量をと心がけるが、それが難しく汚損紙が大量に出ることもしばしば。色は何でもよいが、実際のところ「影」は薄い色の方が効果的。濃い色ではせっかくの「影」が見えにくいので避けるべきかと思う。

 本来この表現は「デボス加工」としてあった。デボスは印刷後の加工である。インキを付けず「空押し」するだけのものであり、面積もごく小さい。そうでないと強い印圧がかからないからだ。
 この刷見本はそれをデボスを応用して、しかも大きな面積に大胆にベタ刷りした。

 この表現は面倒この上ない。だからこそ好きで『印刷メニュー』から外さない。

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